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フランス人学生と実践コミュニケーション!

 今年度も福大協定校のリヨン政治学院から2名、パリ第8大学から3名、留学生が日本語を学びに来ており、フランス語学科2年生のコミュニケーションの授業に参加しています。         

 グループワークでは教科書に出てきた表現を早速使ってみて、フランス人の「先生」に発音を直してもらったり、新しい表現を教わったりしています。授業はフランス語も日本語もごった混ぜ、童謡を合唱したり黒板が落書きだらけになったりするカオスですが、楽しみながらの方が覚えがいいかもしれない?

絵を描くと想像力が刺激されて脳が活性化、語学学習にも相乗効果が期待できる?

 今日は仲間の一人が持っていたクマのぬいぐるみ風ペンケースを Julien が赤ん坊に見立ててあやすふり、みんな大爆笑。そこで「フランスの子守唄を教えて」と出てきたのが、民謡『月明かりの下で(Au clair de la lune)』。どこか懐かしいメロディーに心が和みます。


Au clair de la lune Mon ami Pierrot 

月明かりのもと わが友、ピエロよ Prête-moi ta plume Pour écrire un mot. 

ペンを貸してくれないか 手紙を書きたいんだ

Ma chandelle est morte Je n'ai plus de feu 

ろうそくが消えてしまって もう火がないんだ Ouvre-moi ta porte Pour l'amour de Dieu. 

扉を開けてくれないか どうかお願いだから


 ルイ王朝の宮廷音楽家リュリによる作曲とも言われるこの民謡、歌詞を紐解いてみると何がわかるでしょうか。真夜中に手紙が書きたくて、友達にペンを借りに行った男。しかし寝るのを邪魔されたくない友達は、隣人の女に頼みに行けという。ようやく女の家に入れてもらった男が灯りを探したりペンを探したりするうちに、二人のいる部屋の扉が静かに閉まる...。今でこそ子守唄として知られていますが、実は男女の愛の営みを謳っているのですね!

 

 そう言えば誰もが知る童謡『きらきら星』も、もとはフランスの民謡、乙女の恋心を謳っています。日本語版は、英語版『きらめく小さなお星さま(Twinkle, twinkle, little star)』が原曲ですが、実はこの曲、18世紀末フランスの流行歌『ねえ言わせてママ!(Ah ! Vous dirais-je, Maman)』にまで遡れるのです。


Ah ! Vous dirais-je, Maman, Ce qui cause mon tourment ?

ねえ!言いたいことがあるの、母さん なんで私が悩んでいるのかを Depuis que j'ai vu Silvandre, Me regarder d'un air tendre ;

シルヴァンドルに出会ってから 優しいまなざしで私を見る彼に出会ってから Mon cœur dit à chaque instant : « Peut-on vivre sans amant ? »

私の心はいつもこうささやくの 「愛する人なくして生きられるのかな」


 うら若き乙女が狂おしいまでの恋心をそっと母親に打ち明ける歌。かのモーツアルトも、当時より良い待遇を求めて母を伴い訪れたパリで、この曲に出会いインスピレーションを受け、宮廷貴族の婦女子のためのピアノ練習曲『きらきら星変奏曲』を作曲しました。

 子供の歌がもとをたどれば恋の歌、愛の歌だったとは、さすがはロマンス大国フランスですね!

 

 ちなみに色恋を語らせたら右に出る者はいない(?)、恋愛指南はわれらが福大フランス語学科の鈴木隆美先生まで! 詳しくは『恋愛制度、束縛の2500年史~古代ギリシャ・ローマから現代日本まで~』(光文社新書)にて。

プラトニック・ラブ、ロマンティック・ラブ、エロスとは?キリスト教が説くアガぺとは?
古代ギリシャから西欧の恋愛史を紐解きつつ、現代日本における恋愛の在り方を考察します

 タンゴダンサー・インストラクターとしてもご活躍中の鈴木先生。アルゼンチンでの在外研究にて、本場での実践・実演を通じて、舞踊論・身体論へと研究の裾野を広げられています。タンゴを通して、現代社会の気忙しい日常生活で失われた身体感覚を取り戻し、自らの心の声を聞くこと。そしてそれが自分という狭い殻を破り、他者とつながる一歩となる。地域社会の活性化に日々奔走される、クールなまなざしの奥に情熱を秘めた先生です。

黄昏のタンゴ。言語を介さない、身体と呼吸とリズムを通じての究極のコミュニケーション。


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